オフィス用品メーカーA社は 1990年代に中国に進出、中国では「大地(仮名)」という中国語ブランド名を使用、消費者にも広く知られていました。しかし最近になって中国で商標登録をしようとしたところ、「大地」は既に登録されているという理由で却下されてしまいました。弊社にて商標登録状況を調査したところ、「大地」の名称は深圳の化学メーカー、B社によって2000年に登録されていました。しかもB社は自社製品の分野のみならず、A社の製品分野を含む全ての製品分類で「大地」の名称を登録済でした。
このままではB社がA社を商標侵害で訴えた場合にA社は敗訴する可能性があります。この時点では他にも以下のような可能性と対策が考えられました
1. B社はA社の存在を知らない。今後知った場合に商標侵害で訴える可能性がある 対策:B社の資金的余力、A社を退けた場合のメリットを調査 2. 社は機会をみてA社を訴えるつもりでいる 対策1 商標を譲渡してもらう、あるいはB社を買収する
対策2 A社のブランド名「大地」を変更する。しかし顧客はこれは最終手段であり、すでに中国で親しまれているブランド名を変更することはなるべく避けたい 3. B社はA社の存在を知っているが、特になんらかのアクションを起こすつもりはな い B社を深度調査した結果、以下のようなことが分かりました 1. A社は90年代にキッチン用品メーカーとして中国に参入、B社のオーナーはA社をキッチン用品メーカーとして認識しており、現在はオフィス用品を主力にしていることは知らない 2. B社は地元では知られた大企業で、オーナー一族は地元の政治家ともつながりが深く訴訟の際には有利 3. B社の経営は安定しており売上も順調に伸びているため買収に応じる可能性は低い。 4. 最近自社敷地内に工場を新設したため現金は豊富ではない 5. ベトナムへの進出を計画しており、社長が近々下見に行く予定がある 以上の結果から弊社では最終的に以下のように判断しました 1. B社は資金的にA社と競合する製品を新規開発生産する余裕はなく、時間と労力をかけてA社を訴えて勝訴しても得られるメリットは少ない。よって現状ではB社がA社を訴える可能性は低い 2. B社の経営陣は新工場建設、海外進出など現業務の拡大に注力しており、A社の動向に注意を払っている様子はない。商標譲渡を持ちかけた場合、“やぶへび”となり、法外な金額を要求される可能性がある。 3. よって現時点では何もアクションを起こさないのが賢明である |