「代理店管理のための市場整頓」 中国では自社の正規代理店が模倣品の販売に手を染めている事も不思議ではない。代理店との付き合いには「アメとムチ」を使い分けることが必要だといわれ、市場整頓は非常に強力な「ムチ」として使える。
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市場整頓とは模倣品を販売している店舗をマーケット毎で一挙に摘発する事である。近年各OA製品ブランド、自動車ブランド、電気電子製品ブランドが多くの市場整頓(マーケットスイープ)に取り組み、相応の模倣品の流通の抑制効果を得てきた。 しかしここ数年の市場整頓の経験から顧みると市場整頓で押収できる模倣品の数量は年々減少し、その摘発効果が降下していると考えられ、販売している業者にとっても痛手ではなくなってきているという懸念が出てきた。そこで近年は市場整頓をただ単に模倣品販売業者への打撃と警告という意味からではなく、模倣品を販売している正規代理店への抜き打ち検査とその証拠確保のための作業として行っている。 市場整頓前の調査では何項目にも渡る正規代理店の販売行為に関するチェックを行い、万一模倣品を販売していたら、最優先にそこへの摘発を成功させる。摘発活動を通して中国政府(工商局:AIC)が発行する「押収品リスト」「強制措置通知書」などは代理店が模倣品を販売していた確たる証拠となるため、それを入手した後、メーカーが代理店に警告書を送付したり、代理店契約を中止したりする。尚、摘発は出来ないが代理店契約違反の行為となるコンパチ品(代替品)の販売を行っていた場合にもその証拠確保などを行った。 数年にわたる市場整頓の結果、こういった抜き打ち検査が行われている事は、今では中国国内における同ブランドの代理店はすべて知るようになり、代理店はうかつには模倣品に手を出せない土壌が生まれている。 また付随効果として代理店は模倣品に手を出さない場合、自らの純正品販売の売り上げを伸ばすために模倣品の氾濫の現状を本社に逐一報告し、対策を練るように訴えてくるようになる。現場での状況が詳しく逐一把握できる土壌育成にも繋がっていると言える。 |