「行政摘発の次のステップ」 行政摘発は比較的即座に行うことが出来、費用もそれほどかさまない事が多いが、戦略的な摘発を行わないと、どうしても「もぐら叩き」的な疲弊感に陥ることがある。では、どうすればよいのか。次にあげるのはほんの一例である。
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あるアパレルメーカーAは長年にわたり模倣品問題を研究・対応し続けている。模倣品製造のルートをたどると近年ではその製造拠点はバングラディッシュやベトナムなどに移ることはあっても、その模倣品首謀者や投資者はやはり中国製造メーカーもしくは中国からの商売であることが多いことが調査を通して判明している。 中国国内では数年かけて行政摘発を行ってきたが、それはもぐら叩き的で効果が一向に現れないという声も強くなりつつある。しかし近年ではアライジェンスを通した過去の摘発実績データベースから首謀者やその企業名などを整理し、再犯、再々犯などに重点を絞り、民事訴訟提起を前提に、そのための証拠確保としての行政摘発を行っている。 行政摘発の目的、摘発基準、内容は下記の通り定め、スムーズな運用を行っている。
【目的】 民事訴訟提起を前提に、そのための証拠確保 再犯対応も、民事訴訟提起を目的にしたものであり、再犯による「悪意の証明」及び再摘発による「押収数の加算増大」を目指す 摘発対象は民事訴訟を出来る、規模や悪質度が高い侵害者を特定して摘発する
【摘発対象】
大規模侵害者なり、継続的侵害者なり、悪質度の高い侵害者の絞り込んでの執行
【摘発対象情報】 摘発対象情報として、摘発対象の名称、住所、建物の外観写真、形態、拠点概要、調査製品およびその写真、模倣品確認方法、経緯や状況などの内容も含めるように努める。
【期間・件数契約】 1ヶ月に平均10件の摘発をアライジェンスを通じて執行。 費用は58,000人民元/件 超大規模侵害者の発見でもない限り、1ヶ月に10件程度の執行 5,000枚といった大量数押収の際には、別途、成功報酬的なものを支払う
【摘発基準】 1.規模や悪質度の高い侵害工場 2.侵害ロゴが入った製品は即摘発 3.類似ロゴの場合は要確認 4.数量は基本的に問わないが、民事訴訟の侵害規模の増大を考えると1000枚前後を基準とする
【摘発後作業】 摘発当日に当事者へ通告書を手渡し、サインさせる 摘発後再発していないかどうかの確認作業を入れる 行政処罰決定書の入手は必須 再犯が確認された場合には、押収見込足数も考慮の上、再摘発を執行、摘発基準は上記に則る 再犯が確認されない場合にも、3ヵ月終了後に「再犯なし」といった報告をする
【地域】 中国全土
【その他】 民事訴訟の訴訟金額、費用は再度設定 民事訴訟は証拠の収集が重要であり、証拠して整理して、その客観性証明することは大きな作業量を伴い、その法廷への手続きは煩雑。これらの作業を一貫徹底して行える仕組みを作る |