「模倣品のマーケット調査およびバージョン分析」 模倣品が氾濫しているとはいえ、一体どの製品が、どのような問題に陥り、どの地域で、どれほどの被害額があるのか。それを定量的に知ることが模倣品対策の第一歩である場合が多い。重要なのは売り手と買い手の経済的な動機を読み解くことである。
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某OAメーカーAはその消耗材模倣品の氾濫に悩んでおり、メーカーとしてはその消耗材販売が製品の利益の源泉であるために被害は甚大である事が予想されている。
しかしメーカー本社部門としては被害の規模がどれほどであるのか把握することが出来なければ、どれほどの予算をかけて対策を行えばよいのかという判断がつきづらい。 そこで中国および中国から模倣品が流れれていると思われる主な国で、マーケットで純正品と模倣品のシェアを測定した。 結果、純正品が相当なシェアを奪われていることを定量的に把握し、シェアを奪っているのは模倣品の存在のみならず、下記のような要素が深く関わっていることが分かった。 1.販売店の利益構造として模倣品もそうだがコンパチ品(代替品)も利益率が高いこと 2.正規代理店が模倣品を販売していること、その為正規代理店がその他の販売店に対して目を光らせることが出来ないこと 3.模倣品の入手が容易であること、また模倣品販売業者が法の網を逃れる手法を販売店に手解きしていること ここで純正品売り上げ回復のためには「模倣品対策」「コンパチ品対策」「代理店管理対策」が主に課題として浮かび上がったが、今回は模倣品対策に絞って対応。 調査ではマーケットで模倣品のサンプルを大量に購買したが、そのバージョンの分析を行った。バージョン分析とは模倣品の製造技術(金型・印刷・組立てなど)から紐解いて、どのサンプルが別のどのサンプルと同じ生産ラインで製造されているかを解明し、模倣業者の数を把握したり、模倣生産技術レベルをはかり、模倣品真偽鑑定方法を編み出すのに役立つ分析である。その結果ある製品の80%が同じバージョンの模倣品であること、同じ金型であることが判明した。これは模倣品全体の80%を一手に製造している模倣業者が存在するということである。また同模倣品バージョンの付属品から大手の印刷業者の目星もつき、それらのバージョンがどの地域で購買されることが多かったかという分析から流通範囲も大まかに把握された。またこのバージョンであれば確実に模倣品と純正品の鑑別が出来る方法も編み出された。 目下これら手がかりを武器にOAメーカーAは大手の模倣品製造業者を追い詰めつつある。 |