「巧妙な模倣品の新たな鑑別方法」 模倣品の作りは近年精巧になり、真偽鑑定はますます困難になる一方である。鑑定が困難であると模倣品対策の全般、特に摘発行動に支障をきたす。
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ある自動車メーカーはそのスペアパーツの模倣品氾濫に頭を悩ませていた。模倣品は中国で見つかることが多いが、その半分以上は輸出され、中国が世界の模倣品製造の震源地になっていることも次第に明らかになって行っていた。 同自動車メーカーでは中国での市場に対して常々摘発行動を起こし、市場に模倣品が氾濫することを許さないメッセージを送り続けていたが、近年模倣品の製造技術は進歩し、外観から簡単に模倣品であると判断することが難しくなって行くという傾向があった。 模倣品が特に多いオイルフィルター、ブレーキパッドなどに関してであれば個別に模倣者が犯しやすい純正品との違いを弊社が研究し模倣品であると判断することも可能であったが、自動車部品は膨大な種類が存在し、車種や年代が異なれば部品の形状や外観・印刷が異なることもありえる為、模倣品と純正品との違いをすべて研究することは不可能である。 模倣品と純正品との違いを摘発現場で見分けることが難しくなると、摘発を行う際に問題が起こる。それは摘発当局は誤って大量の純正品を押収してしまうと、問題に発展しやすいためであり、摘発当局によっては模倣品と純正品を摘発現場で鑑別しないと摘発に協力してくれない政府も近年多くなってきた。また近年の模倣業者はその事を逆手に取り多くは純正品と模倣品を混ぜて在庫していることが多い。 よって部品毎に左右されない新しく明確な鑑別方法が求められた。商標ロゴの差異はそのような鑑別に使用できる典型的な部分であるが、近年商標部分を間違って印刷しているような模倣品はさすがに少なく現実的に使用できる方法ではない。そこでアライジェンスは部品ラベル上に印刷されているバーコードを研究した結果、多くの部品で本来であれば異なるバーコード模様であるはずのラベルが、部品番号は正確に模倣しているものの、バーコードの模様はまったく同じであることに気づいた。これは模倣業者がラベルの模倣の際、模様まで一つずつ模倣する手間を省いたためであろうと考えられる。 その為バーコードリーダーで模倣品のラベルを読み、印刷されている部品番号とリーダーで表示される部品番号が異なれば模倣品であるということがはっきり言うことが出来た。 このことに気づいてから摘発現場において、初心者にでもすぐに判断できる、確実な模倣品判断手法の一つが確保され、摘発行動がよりスムーズに行うことが出来るようになった。 |